読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

2016年の日本株

久ぶりすぎる更新です。

 

今年はマーケットもあわただしくあまり時間が取れませんでしたが、今年が終わる前に今年の相場を振り返っておけたらなと思いました。

 

今年の相場を象徴する出来事と言えばBrexitと米国大統領選ですが、今思えば2016年の大発会の日のマーケットが何よりも強烈に記憶に残っています。15年の暮れころには「5年連続の陽線はバブル以降無いから16年は下がるだろう」なんて観測もありましたが、それを体現するような強烈な陰線が今年の初日にはありました。

 

よく、「1月はバリュー、リバーサル効果が出やすい」なんて言いますがまさに逆。強烈な下落の中でバリューが崩壊するマーケットが2か月続きました。きっとクオンツ系の運用をされている方は非常に苦しかったでしょう。

 

そんな環境下で相対的に強かったセクターは食品や医薬などのいわゆる「Min Volファンド」関連の銘柄です。昨年もパフォーマンスが顕著だった低ボア・高配当銘柄たちですが、「債券代替株式」なんて奇妙な言葉をよく目にするくらい、マーケットのフォーカス関係者は注目していたようです。

 

4月くらいからでしょうか。徐々に日本メディアでもBrexitという言葉が出てきてマーケットはリスクを意識しはじめました。

6月の投票日の1週間から2週間前にはいわゆるアンワインドかな?というようなバリュー投げも見られてマーケットのリスク許容度の落ち込み具合が顕著でした。

 

Brexitも大統領選もそうですが、そういうイベントの時にオープンしているマーケットは日本。6月23日は、投票速報が出るたびにマーケットは揺れ動いていました。

日本株は9時に始まりますが、確か寄り前にポンドは徐々に上昇していき、ブックメーカーの予想も残留に固まっているなんて速報もたくさん流れてきて、知り合いのトレーダーは「もう大丈夫なんじゃない?」なんて言っている人がたくさんでした。

実際に離脱が決定された後はマーケットは数日混乱を引きずっていましたが、今思えば、この年末まで続く株高の起点はBrexitでした。6432竹内なんかは代表的ですよね。日経平均だけみると現在の株価上昇は大統領選以降に見えますが、個別株を見ていくと7月頭くらいからきれいな上昇を始めている銘柄が多くあります。

 

最初は売られすぎた欧州関連株が戻しているだけ、と見えましたが実際は強烈ばバリュー・リバーサル相場の起点でした。

そこに拍車をかけたのがトランプ新大統領の誕生です。

メディアでは「インフラ整備のための財源としての国債発行、よって金利上昇」という理論の解説があります。それはきっと間違っていないのでしょうが、私の考えではそれはあくまで要因の3割程度。

実際にマーケットが意識したのは、金融政策の限界。これまで米国も欧州も日本も強烈な金融緩和政策で景気回復を目指してきましたが結局大した効果は見られず、欧州ではうっ憤がたまった国民がついに英国のEU離脱を引き起こしてしまいました。

 

緊縮財政の推進という危険な時代を早く終焉させて、新たな時代に入っていく。というシナリオをマーケットは描いているのではないのでしょうか。

 

 

 

 

たぶんきっと来年の相場は欧州が最大のリスク要因で、EURの動向でマーケットが大きく左右されるんじゃないかなあと思っていますが、世界の金利が上昇するなか、金利固定を目指している日本では、強力な通貨安が起こるんじゃないかなとも思っています。

 

2017年、素敵な年になるように、がんばりたいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

裁定残とマイナス金利と理論先物価格

今年になってBOJがマイナス金利政策を導入してから、債券マーケットはもちろんですが株式市場でも大きな異変が起きています。

もっとも影響が大きいのが裁定残の変化です。

Googleで「裁定残」でニュース検索すると昨日がメジャーSQだったこともあってか、たくさんの記事がでてきます。最近の解説はほぼすべて「BOJにETFを渡すため」というものだけですね。ETF買いに対応するために裁定残高が減っているのだ、と。

 

ですが裁定残高変化も本質はBOJはBOJであってもETF買いではないと私は分析しております。それは理論先物価格を計算してみると見えてくる事象です。

 

<理論先物価格の計算>

教科書的には、現物価格×(1+(短期金利配当利回り)×日数÷365)、というようになっていますが、実務的にはもう少し変わっていて、

 

現物価格×(1+(調達金利-インプライドレポレート)×日数÷365)-期間中の予想配当落ち額

 

と、考える人が多いでしょう(直近1、2限月に対しては)。

インプライドレポレートというのは、株を借りるときの「借り入れ利率」見たいなものです。株式を空売りするためには株式を借りてくることが必要ですが、そのコストが実運用では金利計算に必須となります。

注意深く日経平均先物価格の推移を見ていると気づくと思うのですが、先物価格は日経平均現物価格から配当を控除した価格よりも低い価格で取引されていることがほとんどなっています。つまり上記の数式上の「調達金利-インプライドレポレート」がマイナスとなっているということです。この状況を正確に観測するためには、「EFP」という特殊な取引のレートから逆算します。

 

<EFP>

Exchange For Physicalの略で現物株式と先物を交換する取引を指します。

この取引は主に機関投資家と証券会社、もしくは証券会社同士で実施されています。

 証券会社同士のマーケットでは100.とか130という数字で気配が提示されています。これはどういう数字かというと、「ある時点の株価指数から100円引いた数字で先物を取引しましょう」という数値です。

例えば場中に「100円で大引けEFPを買います」という約定をすると、大引け日経平均が決定されたあとに、大引けの数値から100円引いた価格で先物を取引の相手方とJ-Netクロスします。J-Netクロスというのは取引の相手方と商品、価格を指定して約定を付ける大阪取引所のデリバティブ専用の市場です。

この数値から、マーケットで取引されている理論的な取引価格が逆算できます。

 

 

このEFPから逆算された金利水準と裁定残高の推移を比較すると極めて高い相関があることが見えてきます。ちなみに直近の金利水準はマイナス38BP程度です。

 

裁定残高と金利水準が大きく低下したのは今年のマイナス金利導入以降です。

ここから推察できる結論は、債券からLiborまで多くの金利水準がマイナス金利政策導入以降に急低下し、マーケットの調達金利も急激に低下する一方でBOJによるETFの買入(1月時点でも買入は一回300億円もありました・・・)による証券会社のレンディングニーズの高止まりからレポレートは低下せず、結果的に「調達金利-インプライドレポレート」がマイナスに入っている、ということだと私は分析しています。

 

しかし、まあ世の中のマーケット解説者でなぜひとりも先物価格の金利感に触れる解説がないのでしょうか?もしかしたら私の分析が大きく違っているのかもしれませんね(笑

 

 

証券会社はどうやって日銀にETFを渡しているのか?

証券会社はどのようにしてBOJに対してETFを渡しているのでしょうか?

いろいろ考えてみたのですが、大きな謎がひとつ。

「裁定残の枯渇する中でどうやって株式を調達しているのか?」

 

この疑問について順を追って考えていこうと思います。

 

1.設定と交換

普通の個人投資家などもやろうと思えばできなくもないのですが、証券会社は一般の投資家とは異なるルートでETFを手に入れることができます。それが「設定」と呼ばれるシステムです。

現在、日経平均は225銘柄を指数の連動するようにポートフォリオを組むにはだいたい8.5億円程度必要なのですが、指数に完璧に連動するように組まれた225銘柄の株式から成るバスケットを用意することができれば、証券会社は運用会社にこの225銘柄を渡して、かわりに渡した株式に見合った口数のETFを受け取ることができます。これが設定と呼ばれるフローです。

前回の記事で書いたように、証券会社はBOJからETFのオーダーを受けると裁定ポジションの中にある先物ショート分を減らしていきます。例えばもともと17億円分の現物ロングと先物52枚分のショートから構成される裁定ポジションがあったときに、17億円分のオーダーをBOJから受けると、証券会社は指定された時間において先物を52枚買い戻していきます。執行時間が終了した時点では先物がすべて買い戻され残るのは現物17億円のロングのみです。

この17億円のポジションを運用会社に「設定」を申し込んで渡し、かわり運用会社から17億円分のETFを受けとります。その後、受けとったETFを今度はBOJに渡します。これによって証券会社は先物はマーケットで解消し、現物はETFに変えてBOJに渡すためポジションはゼロになります。

通常のマーケットではこのようなフローでETFがBOJに渡っていきます。ですが現在はニュースなどでも話題になっているようにETF設定に不可欠の裁定残がどんどん減少していっています。ではどのように株式を買い入れているのでしょうか?

 

2.設定に必要な株式の調達

 株券と調達する方法は2つ。「買う」か「借りる」か。

まず、買う方法を考えます。

証券会社がBOJからオーダーを受けたあとに、先物ではなく現物をマーケットに買いにいったとします。この場合問題となるのが受渡日です。祝日などが無いとすると、T+3、つまり月曜日に買った株が手元に入ってくるのが木曜日です。しかしながら運用会社への株券受けたしはだいたいがT+2です。つまり東証で株券を買って調達しようとしても手に入るのは木曜日で運用会社に渡さなくてはいけない水曜日に間に合いません。東証への直接発注以外にもOTCで他の証券会社などからT+2で買い取るということもありえますが、何兆円ものBOJの買いに対応できるほどは無いでしょう。

 

やはり株券は「借りてきている」というのが有力ではないでしょうか。

 何らかの方法で株券を大量に借りてくることができれば、借り入れた株券を運用会社に渡すことによってもETFは設定することができます。この場合は、借りてきた株を使ってETFを日銀に「空売り」していることとなります。ポジションとしては現物ショート+先物ロングです。これは現実的に可能でしょうが、ポイントは「誰から借りてくるのか」です。これに関しては私はまったく知識が無く想像のみで以下を書いていきます。

BOJは三井住友信託に委託してETFを買ってきているのですが、私の想像では運用会社と証券会社と信託銀行の三者間で何かしら特別な株券貸借取引契約を結んでいると考えています。

証券会社は運用会社との間で株券の貸借契約を結び、運用会社から借りてきた株式で運用会社に対してETFの設定を行っているのではないでしょうか。つまり、「株券を預ける先から株券を借りる」という、まるで銀行の「信用創造」のような仕組みで株券の調達を行っているのではないでしょうか。もちろんいつかは買い戻さなくてはいけないのでマーケットには一定の需給が発生するでしょうが、きっとEFPと呼ばれる証券会社同士で取引されている特殊なインデックス取引で解消されているのでしょう。

もしこの疑似信用創造みたいなフローがあるとすれば、本来株券の大きな「貸し手」として重要だった信託銀行の株券がなくなっていき、株券の貸借レートに大きな影響を与えているかもしれません。

今年の1月2月ころから先物が恒常的に「逆ザヤ」状態となっているのは、本来調達金利分上昇するはずの先物価格が貸借レートの高騰によってマイナスになっているからかもしれません。

 

BOJによるETF買入はどのように行われているのか?

BOJによるETF買入はどのように行われているのか?

BOJからオーダーを受けている証券会社でないと本当のところは分からないのですが、BOJのETF買入についていろいろ考えてみました。

 

1.直接の執行対象は何か?

ETFの中で最も大きなものと言えば1321野村225型ETFでしょう。BOJのホームページを見ると純資産規模に準じて買入規模を決定しているということなので、まずこのETFがBOJが最も多く保有している銘柄と思われます。

ではどのように買っているのか。

BOJからオーダーを受けた証券会社がマーケットに対して直接ETFを買っていく、というのは考えにくいですね。マーケットの板を見てみると野村225だとそれなりに指値が詰まっており、流動性が高そうに見えます。ですがETF流動性はマーケットメーカーと呼ばれる「板を提供する人」によって賄われています。マーケットにある株価から理論的なETFの価格を計算し、それをはさむようにBidとAskを常に提示し続けています。つまり、この板を取りに行くと理論上は「割高」な価格でETFを購入することとなります。個人投資家などが購入する場合には特に気にするほどの差額ではないかもしれませんが、数兆円の買入を行っていくBOJにとっては無視できない差でしょう。またマーケットメーカーからすれば常に買い上がられることが分かっている状況で同じBid-Askスプレッドを維持することもしないでしょう。

 

おそらく証券会社は先物を発注しているのでしょう。ETF先物には配当などの要因で絶対的な価格差はありますが日中は極めて強く連動しております。たぶんですが、一定範囲時間のVWAP(出来高加重平均価格)を参考に潜在的先物と買入対象ETFの価格差を加えた価格で証券会社と取引を行っていそうです。

 

よく、「裁定残」というキーワードがマーケットニュースで流れますが、裁定残というのは、例えば日経平均を構成する225銘柄をロング、その金額に合うように先物をショートしているポジションを指します。BOJがETFを買いに来た場合に証券会社が先物を発注すると裁定ポジションのなかの先物が減少、BOJへの売却価格が決定した後にETFの運用会社に保有する個別株式を渡してETFを「設定」していると思われます。ETFというのはマーケットで買う以外にも構成銘柄を運用会社に渡すことで「作ってもらう」ことができる「設定」という仕組みがあります。きっとこの仕組みを活用しているものと想定できます。

 

2.いつ買っているのか?

BOJによる買入は巨額のため、世の中でやりとりされたETFのうちどの商いがBOJに関連するものかはだいたい特定できます。BOJが公式に買入実施を報告する前にニュースサイトなどが「買入実施の様子」と報道できるのはこのためです。

この、BOJのETF取引に関する価格を調べてみるとどうも前場全体、あるいは後場全体のVWAPでもないようで、やはり任意の時間で計算されたVWAPを参考にしていそうです。この時間を知ることでできるのはオーダーを受けた証券会社だけでしょうね。私のような投資家にはのどから手が出るほど欲しい情報です(笑)

BOJが買入を実施した日の日中の値動きを調べたことがあるのですが、BOJが入りそうな日には13時から14時くらいの間が最も上昇率が高そうです。日中の日計りをするのであればこの時間帯がリスクが少ないのかもしれないですね。

日銀のETF買入の影響

日銀によるETFの買入が話題になっております。

 

8月になってからは売買代金も2兆円を下回る日が多くなってきており、700億円の買入は無視せざるを得ない影響を持っていると思われます。

 

一番気になるのは、買い入れ実施の条件。白川総裁の時には、TOPIX前場で1%以上下落した場合に発動、という観測がありました。よくTPXの騰落率がマイナス1%付近になるにつれ、動きが鈍くなるようなことが多かったですね。

 

では黒田BOJではどのような買ってきているのか。

ベンダー記事を読む限り、マイナス0.3%からマイナス0.4%で発動ではないかと見られているようですが基準を越える下落率でも買入が実施されなかったこともあります。もっとも、7月の会合以降に買入が実施されたのが4回のみでありなんとも言えません。

 

1日あたりの売買代金が2兆円、その内BOJが買入を実施すると想定される後場が50%、1兆円だとすると7%の比率を占めることとなります。これは大きいですね(正確には従来型ETFの707億円と毎日買っている人材・設備投資型ETF12億円、合計で719億円)。うわさではBOJは複数の証券会社にコンペを実施しているらしいので、1つの証券会社に来るオーダーは200~300億円程度となりそうですが、担当ディーラーはドキドキでしょうね(笑)

 

では、BOJはどのように買い入れを行っており、どのように証券会社とトレードを行っているのでしょうか?次回、考えてみましょう。

株価と経済について考えました。

かぶまると申します。
サラリーマンをしながらマーケットについても色々考える生活をしています。

株式市場や日本経済について考えたことを少しずつ書き溜めていき、マーケットについての考え方を整理していければと思っています。

 

よろしくお願いします。