BOJによるETF買入はどのように行われているのか?
BOJによるETF買入はどのように行われているのか?
BOJからオーダーを受けている証券会社でないと本当のところは分からないのですが、BOJのETF買入についていろいろ考えてみました。
1.直接の執行対象は何か?
ETFの中で最も大きなものと言えば1321野村225型ETFでしょう。BOJのホームページを見ると純資産規模に準じて買入規模を決定しているということなので、まずこのETFがBOJが最も多く保有している銘柄と思われます。
ではどのように買っているのか。
BOJからオーダーを受けた証券会社がマーケットに対して直接ETFを買っていく、というのは考えにくいですね。マーケットの板を見てみると野村225だとそれなりに指値が詰まっており、流動性が高そうに見えます。ですがETFの流動性はマーケットメーカーと呼ばれる「板を提供する人」によって賄われています。マーケットにある株価から理論的なETFの価格を計算し、それをはさむようにBidとAskを常に提示し続けています。つまり、この板を取りに行くと理論上は「割高」な価格でETFを購入することとなります。個人投資家などが購入する場合には特に気にするほどの差額ではないかもしれませんが、数兆円の買入を行っていくBOJにとっては無視できない差でしょう。またマーケットメーカーからすれば常に買い上がられることが分かっている状況で同じBid-Askスプレッドを維持することもしないでしょう。
おそらく証券会社は先物を発注しているのでしょう。ETFと先物には配当などの要因で絶対的な価格差はありますが日中は極めて強く連動しております。たぶんですが、一定範囲時間のVWAP(出来高加重平均価格)を参考に潜在的な先物と買入対象ETFの価格差を加えた価格で証券会社と取引を行っていそうです。
よく、「裁定残」というキーワードがマーケットニュースで流れますが、裁定残というのは、例えば日経平均を構成する225銘柄をロング、その金額に合うように先物をショートしているポジションを指します。BOJがETFを買いに来た場合に証券会社が先物を発注すると裁定ポジションのなかの先物が減少、BOJへの売却価格が決定した後にETFの運用会社に保有する個別株式を渡してETFを「設定」していると思われます。ETFというのはマーケットで買う以外にも構成銘柄を運用会社に渡すことで「作ってもらう」ことができる「設定」という仕組みがあります。きっとこの仕組みを活用しているものと想定できます。
2.いつ買っているのか?
BOJによる買入は巨額のため、世の中でやりとりされたETFのうちどの商いがBOJに関連するものかはだいたい特定できます。BOJが公式に買入実施を報告する前にニュースサイトなどが「買入実施の様子」と報道できるのはこのためです。
この、BOJのETF取引に関する価格を調べてみるとどうも前場全体、あるいは後場全体のVWAPでもないようで、やはり任意の時間で計算されたVWAPを参考にしていそうです。この時間を知ることでできるのはオーダーを受けた証券会社だけでしょうね。私のような投資家にはのどから手が出るほど欲しい情報です(笑)
BOJが買入を実施した日の日中の値動きを調べたことがあるのですが、BOJが入りそうな日には13時から14時くらいの間が最も上昇率が高そうです。日中の日計りをするのであればこの時間帯がリスクが少ないのかもしれないですね。